ザ・ビートルズ楽曲データベース

Baby, You're A Rich Man

邦題
ベイビー・ユーアー・ア・リッチ・マン
作者
Lennon/McCartney(二人の共作)
リードヴォーカル / コーラス
ジョン / ポール、ジョージ
使用楽器
  • Rickenbacker 4001 (Paul)
  • Epiphone Casino(George)
  • Piano (John,Paul)
  • Ludwig (Ringo)
  • Clavioline (John)
  • Conga (John)
  • Maracas (Ringo)
  • Tambourine (Ringo)
  • Vibraphone (Eddie Kramer)
  • Backing Vocal (Mick Jagger)

Recording Data ~レコーディング・データ

15枚目のオリジナルシングル「愛こそはすべて」のカップリング曲として発売された曲である。
元々はアニメ映画「イエロー・サブマリン」の為に作られ、そして劇中でも使用されたにもかかわらず
サウンドトラック盤である11枚目のアルバム「イエロー・サブマリン」には収録されなかった。

1967年11月初旬。「マジカル・ミステリー・ツアー」が2枚組EPとして英国で発表される事が決まった。
しかし、アメリカでは複数の曲をEP盤の片側に詰め込む事が一般的ではなかったため
アルバムに未収録だったこの時期のシングルを収録した編集アルバムとして、LP盤「マジカル・ミステリー・ツアー」が企画され、本国でのEP発売の10日前にキャピトルから先行発売された。
1987年のCDリリースに際して、全世界で音源そしてカタログラインナップを統一する事になり、唯一アメリカ編集盤からこのLPが選ばれて統一カタログにラインナップ入りする事となった。
この楽曲は、CDでは「マジカル・ミステリー・ツアー」の10曲目に収録されている。

この時期のビートルズは、「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の発売前にもかかわらず、「マジカル・ミステリー・ツアー」の映画、そして楽曲の制作と録音。そして、アニメ映画「イエロー・サブマリン」のプロジェクトを同時進行で進めていた。
当初アニメ映画には否定的だったビートルズは、録音した曲の出来があまり良くないと
これはあのアニメにくれてやれw」というジョークを飛ばしていたらしい。
(しかし、その「出来が悪い」と言われてアニメに回された曲は2曲、そして両方ジョージの曲・・・・・)
アニメ映画を見たビートルズは、それが芸術的価値のあるものだと改めて認識して、
それ以降はきっちりと曲を作るようになった。

その「きっちりと」取り組むようになって最初に録音されたのがこの曲である。

録音されたのは1967年5月11日。
いつものアビイ・ロードスタジオではなくて、オリンピック・サウンド・スタジオで録音を行った。
ここはローリング・ストーンズなども使用するイギリスでもトップクラスのスタジオである。

この時期は、アビイ・ロードでのんべんだらりんと録音セッションをしていたビートルズにとって
他のスタジオの人間のせっかちさ(時間制限がある以上、当たり前なんだが・・・・)には面食らったようで
この曲は録音そしてミックスダウンまですべて1日で終了しており、本人達も「こんなに早く仕上げたのは初めて」とのコメントを残している。

第12テイクまで録音して、リダクションを1度行ってこれを第1、第2テイクとした。
(テイク表記が違うのはスタジオのルールのせいか?)
最終的に第2テイクをミックスダウンして仕上げている。

ジョンはこの曲でクラヴィオラインという初期のアナログシンセサイザー(当然モノフォニックで単音しか出せない)を使用している。イントロ部分のオーボエの様な音がそれである。

このクラヴィオラインで最も有名なプレイといえば、デル・シャノンの1961年の曲「悲しき街角」の間奏である。
改造されたクラヴィオライン(ロックトロンと名付けられている)でのプレイが収録されている。

Out Takes ~ミックス、テイク違い&リマスター

  1. 今では簡単にステレオバージョンが聴けるが・・・・・
    当時(1986年頃)この曲のリアル・ステレオバージョンは入手しにくく、シングル盤、そしてLP「マジカル・ミステリー・ツアー」は疑似ステレオだったために非常に音が悪かった。
    限定版だった「The Beatles EP Collection」のボーナスEPにしか収録されていなかったのである。
    お金を貯めて、このEPセットを買い、ステレオバージョンでポールのリッケンベースの音を聴いたときに鳥肌が立ったのを今でもはっきりと覚えてます。

An anecdote ~ こぼれ話

  1. オリンピックスタジオのエンジニアだったエディ・クレイマーがビブラフォンをプレイしており、そしてたまたまそこに居合わせたローリング・ストーンズのミック・ジャガーがコーラスに参加している。
    フェイドアウト寸前の「Baby, Youre a Rich man too」のリフレインで、音程がキツかったのか1オクターブ下で歌うミックの声がはっきりと聞き取れる。
  2. Wikipediaなどネットのあちこちに「ブライアン・ジョーンズがオーボエで参加している」という記述を見かけるが、これはイントロのあのフレーズの事を指しているのだろうか?
    何よりこのセッションが行われた前日の1967年5月10日にブライアン・ジョーンズはコートフィールドのアパートで麻薬捜査官により逮捕されているのである。
    逮捕された翌日に「あの」ブライアン・ジョーンズがミックと一緒にビートルズがやってるセッションに出かけたりするかねえ・・・・・
    しかも、この時期のブライアンは恋人のアニタをキース(リチャーズ)に取られたばかりでかなりの精神状態だった事もわかっている。
    てか、この機械的なメロディをオーボエで吹けるってんなら確かにすごいけどねえ。
  3. この曲はジョンの「One of the Beatiful people」という曲と、ポールの「Baby,You're a Rich Man」という曲の合作で、たぶんサビの部分をポールが作ったのだろう。曲名もこちらが採用されている。
    ジョンはサビの部分を「Baby, You're a Rich fag Jew(お前は金持ちのユダヤホモ野郎)」と歌っていたという記録も残っており、そのせいかブライアン・エプスタインに向けられた曲とも言われていた。

各種聴き放題サービスでのビートルズ作品の取り扱い状況

Amazonプライムミュージック

ビートルズ・オリジナルアルバムはAmazonプライムの特典である「Amazon Prime Music」で「ウィズ・ザ・ビートルズ」「ビートルズ・フォー・セール」「イエロー・サブマリン」を除いて聴き放題に含まれています。(いずれも2009年リマスターのみ)

Amazonジャパンのプレスリリースはこちら。

なぜこの3つが省かれているのかが謎ですが、単体での購入もお忘れなくという事なのかも知れません。
Amazonプライムはお急ぎ便の使用や送料無料、プライムビデオなど様々な特典を含んで月間400円、年間3,900円という価格で提供されています。
ちなみにプライムビデオの方では無料のビートルズ映像作品はありませんでしたし、公式の映画やコンサートフィルムは取り扱い自体がありませんでした。
頻繁にAmazonを使う、という事であれば加入するのもよいかも知れませんがビートルズを全て楽しみたい!という方には微妙かも。

Google Play Music

Googleが提供しているGoogle Play Musicの状況はオリジナルアルバム(アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントペパーの50周年含む)は全て配信されていますが、BBCセッション、レット・イット・ビー・ネイキッドは見当たりませんね。その代わりトニー・シェリダンものやハンブルグものなど少々怪しそうな物もラインナップされてるのがちょっと面白いです。
こちらは月額980円です。公式サイトはこちら

Spotify

Spotifyでの状況はGoogle Play Musicと同じ取り扱い状況ですが、時折広告が入ったり使用時間の制限があるものの公式アルバムの曲は全曲聴けるようになっています。
この制限を外したり、ダウンロード可能にするには月額980円の使用料が必要になります。
公式サイトはこちら

Apple Music

音楽配信サービスの大御所(笑)といえばやっぱりAppleですが、ビートルズの取り扱い状況は他よりも充実しており、BBCセッション、ネイキッド、イエロー・サブマリンソングブック、そしてなんとU.S.Albums(!)も含まれています。但しこれらは単体購入のみでしか聞けないものもあります。

オリジナルアルバム、アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントの50周年エディションまでが聴き放題プランの中に含まれているので、ビートルズを楽しみたいのであればApple Musicが今の所最良の選択と言えるでしょう。

惜しむらくはモノラル盤の取り扱いがないところですが、AppleにはiTunes独占配信だった「The Beatles Bootleg Recordings 1963」があるのが大きいですね。
このアルバムも月額プランで聴けるものの中に入っています。

月額プランは個人では980円。ファミリープラン、1480円もありこちらはこの金額で6人までアクセス可能です。

参考文献

ビートルズ公式録音曲213曲を徹底的に解説!テイク違いやミックス違い、そして2009年リマスターについてを動画等を交えて書き連ねています。

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