ザ・ビートルズ楽曲データベース

She Came in Through the Bathroom Window

邦題
シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー
作者
Lennon/McCartney(ポールの作品)
リードヴォーカル / コーラス
ポール / ジョン、ジョージ
使用楽器
  • 12-String Guitar (John)
  • Rickenbacker 4001 (Paul)
  • Gibson Les Paul (George)
  • Piano (John)
  • Ludwig (Ringo)
  • Tambourine (Ringo)

Recording Data ~レコーディング・データ

ビートルズの11枚目の英国オリジナルアルバム「アビイ・ロード 」の13曲目に収められているナンバー。
このアルバムは1969年9月26日に発売された。
B面(アナログ)のほとんどを埋めるメドレーの中の1曲である。
作者のポールがリード・ヴォーカルをとっており、ジョンとジョージがコーラスをつけている。

運命の1969年。年が明けてすぐの1月2日。ビートルズはトゥイッケナム・フィルム・スタジオに姿を現した。
混沌とする活動状況を打破する為に、ポールが打ち出したのは「原点に帰る」というコンセプトだった。
デビュー以来の、全世界をコンサートで飛び回っていたあの頃に帰る、という事。
オーバーダブなどしなかった(出来なかった)あの頃に・・・・!

ポールはコンサートツアーの再開を提案したが、他の3人は難色を示す。
妥協案として1度だけのコンサートも企画されたが、これも結局流れてしまった。
最終的にリハーサルなどを含むドキュメンタリーを制作しテレビで放送する、という事で合意した4人は
このフィルムスタジオでリハーサルを開始した。「ゲット・バック(原点に帰る)・セッション」の始まりである。

しかし、いつも撮影されているというプレッシャー、そして薄ら寒いだけの撮影スタジオという慣れぬ環境。
張り切るポールはあれやこれやとジョージに指示、ジョージはそれに反発して口論となり
5ヶ月前にリンゴがしたように、1月10日にスタジオを飛び出してしまう。
数日後にジョージは復帰するが、テレビショウに関しては意見を曲げず、結局この企画は流れてしまう。
映像撮影、そして「オーバーダブをやらない」というコンセプトのアルバム制作は続行されるものの
1969年1月30日のルーフトップ・コンサート、そして翌日のセッションをもってこのプロジェクトを放棄。
総時間、90時間以上の撮影・録音テープを残したまま、ビートルズはアップルスタジオを去ったのだった。
後にこの撮影テープは映画「レット・イット・ビー」となり、
録音物はフィル・スペクターの手によってアルバム「レット・イット・ビー」としてまとめられ、
ビートルズのラスト・アルバムとして翌年の1970年5月8日に発売される。

あの苦しいセッションが終了してしばらく経った頃。ポールはジョージ・マーティンに電話をかけた。
「もう一枚アルバムを作ろうと思うんだけど、またプロデュースしてくれないかな?本当の意味でね。」
マーティンは「本当に昔の様にできるならいいけど、そうじゃないなら断るよ。」と応え、これを了承した。
4人はすでにバラバラになっているにも関わらず、再びアビイ・ロードスタジオに集結する。
・・・・・・・最後の奇跡を形にするために。

この曲が最初に取り上げられたのは1969年1月22日。サヴィル・ロウのアップル・スタジオにて。
「ゲット・バック・セッション」の中で一度録音されている。
この時はリリースされた物と比べてかなりテンポが遅く、ブルージーなバージョンだった。

この曲が再度、録音開始されたのは1969年7月25日。アビイ・ロード第2スタジオ。
録音の段階から前の曲である「ポリシーン・パン」と繋げて録音されており、ジョン(アコースティック12弦)、ポール(ベース)、ジョージ(ギター)、リンゴ(ドラム)の編成で39テイク録音された。
なおこの日のセッションの終盤には第39テイクにドラムがオーバーダビングされている。
この日は前日に録音した「サン・キング」「ミーン・ミスター・マスタード」へのオーバーダブも行われており、ビートルズはこの二日間でこれら4曲のベーシックトラックを録音したことになる。

1969年7月28日。アビイ・ロード第3スタジオ。
ピアノ、エレピ、ヴォーカル、アコースティック・ギターが第39テイクにオーバーダブされた。。

1969年7月30日。アビイ・ロード第3スタジオ。
第39テイクにヴォーカル、パーカッション、ギターが録音される。
この日、アルバム後半のメドレー曲の全てがステレオミックスされて、仮につなぎ合わせる作業が行われた。

この曲はこれで完成に至る。

Out Takes ~ミックス、テイク違い&リマスター

  1. The Beatles Anthology 3」に、1969年1月22日のアップルスタジオでの録音が収録されている。

An anecdote ~ こぼれ話

  1. この曲も実在の人物をモデルに書かれている。
    ポールの家に入った空き巣が女性(知り合いだったとも)で、彼女は風呂場の窓から侵入したそうで、この出来事からインスパイアされてこの曲を書いた。
    「She could steal but she could not rob(彼女は盗みは出来ても強盗はできなかった)」とはなかなかポールも余裕ですなw
  2. この曲はジョー・コッカーによってカバーされたが、当初ジョーは「ゴールデン・スランバー」をカバーしたかったそうだが、ポールがこれを拒否。その代わりにこの曲のカバー許可を出したらしい。
    ジョー・コッカーはイギリスのヴォーカリストで、ビートルズの曲を数多くカバーしている。

各種聴き放題サービスでのビートルズ作品の取り扱い状況

Amazonプライムミュージック

ビートルズ・オリジナルアルバムはAmazonプライムの特典である「Amazon Prime Music」で「ウィズ・ザ・ビートルズ」「ビートルズ・フォー・セール」「イエロー・サブマリン」を除いて聴き放題に含まれています。(いずれも2009年リマスターのみ)

Amazonジャパンのプレスリリースはこちら。

なぜこの3つが省かれているのかが謎ですが、単体での購入もお忘れなくという事なのかも知れません。
Amazonプライムはお急ぎ便の使用や送料無料、プライムビデオなど様々な特典を含んで月間400円、年間3,900円という価格で提供されています。
ちなみにプライムビデオの方では無料のビートルズ映像作品はありませんでしたし、公式の映画やコンサートフィルムは取り扱い自体がありませんでした。
頻繁にAmazonを使う、という事であれば加入するのもよいかも知れませんがビートルズを全て楽しみたい!という方には微妙かも。

Google Play Music

Googleが提供しているGoogle Play Musicの状況はオリジナルアルバム(アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントペパーの50周年含む)は全て配信されていますが、BBCセッション、レット・イット・ビー・ネイキッドは見当たりませんね。その代わりトニー・シェリダンものやハンブルグものなど少々怪しそうな物もラインナップされてるのがちょっと面白いです。
こちらは月額980円です。公式サイトはこちら

Spotify

Spotifyでの状況はGoogle Play Musicと同じ取り扱い状況ですが、時折広告が入ったり使用時間の制限があるものの公式アルバムの曲は全曲聴けるようになっています。
この制限を外したり、ダウンロード可能にするには月額980円の使用料が必要になります。
公式サイトはこちら

Apple Music

音楽配信サービスの大御所(笑)といえばやっぱりAppleですが、ビートルズの取り扱い状況は他よりも充実しており、BBCセッション、ネイキッド、イエロー・サブマリンソングブック、そしてなんとU.S.Albums(!)も含まれています。但しこれらは単体購入のみでしか聞けないものもあります。

オリジナルアルバム、アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントの50周年エディションまでが聴き放題プランの中に含まれているので、ビートルズを楽しみたいのであればApple Musicが今の所最良の選択と言えるでしょう。

惜しむらくはモノラル盤の取り扱いがないところですが、AppleにはiTunes独占配信だった「The Beatles Bootleg Recordings 1963」があるのが大きいですね。
このアルバムも月額プランで聴けるものの中に入っています。

月額プランは個人では980円。ファミリープラン、1480円もありこちらはこの金額で6人までアクセス可能です。

参考文献

ビートルズ公式録音曲213曲を徹底的に解説!テイク違いやミックス違い、そして2009年リマスターについてを動画等を交えて書き連ねています。

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