ザ・ビートルズ楽曲データベース

Good Night

邦題
グッド・ナイト
作者
Lennon/McCartney(ジョンの作品)
リードヴォーカル / コーラス
リンゴ / -
使用楽器
  • Orchestra

Recording Data ~レコーディング・データ

ビートルズの本国9枚目のオリジナルアルバム、そして唯一の2枚組アルバムの「ザ・ビートルズ」 (通称:ホワイト・アルバム)のDisc2、13曲目に収められたバラードナンバー。
リンゴがリード・ヴォーカルをとり、またリンゴ以外のメンバーは一切録音には参加していない。

1968年、ビートルズはシングル「レディ・マドンナ」を録音し終えた後、2月15日から3月の末までにインドに滞在した。
マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーの元で瞑想修行をするためである。
このインド滞在中にかなりの曲を書きためたビートルズは4月に帰国後、5月30日の「レボリューション1」を始めにこのアルバムのセッションを開始した。
最終的に曲は32曲録音されたが、ジョージ・マーティンは「クォリティを高めるために1枚に絞り込むべきだ」と主張。
ビートルズ側はこれを聞き入れずに最終的に30曲入りの2枚組として発売したのである。

各自の音楽家としての成長、それと共に育つエゴとプライド。
そしてセッション途中からの8トラックレコーディングの導入が、それぞれの個人作業を容易にしてしまった。
5月14日にはビートルズ自身のレコード会社「アップル」設立を発表。
ブライアン・エプスタイン不在の中、ビートルズはまったく未経験のビジネスに身を投じストレスを溜め込み始める。
お互いがお互いを助け合っていた4人のバランスが、このセッションより微妙に狂い始めたのだった。

この曲が録音開始されたのは1968年6月28日。アビイ・ロード第2スタジオ。
もともとジョンは最初からリンゴに歌わせるべくこの曲を書いたそうで、この日はジョンのアコースティック・ギターとリンゴのボーカルだけで5テイクが録音されている。
これは多分リハーサルを兼ねたものだったのだろう。
各テイクの始めにはリンゴによる、「子供達への言葉」が即興で付け加えられた。

1968年7月2日。アビイ・ロード第2スタジオ。
先日の第5テイクにリンゴのヴォーカルと、コーラスを加える。
しかしこのコーラスも、アコースティックギターも最終的にはすべて省かれてしまった。
このテイクそのものが破棄されてしまったのである。
ジョージ・マーティンはオーケストラのスコアを書くために、この日のテイクをモノミックスして持ち帰った。

1968年7月22日。アビイ・ロード第1スタジオ。
26名ものオーケストラを収容するには、広い第1スタジオを使うしかなかったのである。
まずオーケストラは12テイク録音(なぜかテイク番号は23から始まっている)されて第34テイクがベストと判断。
そして、ビートルズのレコーディングでは2回目になるマイク・サム・シンガーズが再び招かれて、混声コーラスをオーバーダビング。(「 アイ・アム・ザ・ウォルラス」が最初の参加。)

そして第34テイクにリンゴのヴォーカルがオーバーダビングされてこの曲は完成した。

Out Takes ~ミックス、テイク違い&リマスター

  1. モノラルではイントロがフルボリュームで始まるのに対して、ステレオではゆっくりフェードインしてくる。
    またボーカルもモノラル盤の方がエコーが深くミックスされている。
  2. The Beatles Anthology 3」に、ピアノとリンゴのボーカルのみの初期バージョンが収録されている。
    これはいつ録音されたかは不明だが、「ビートルズ・レコーディング・セッション」に書かれているのは、 ジョンのアコギとリンゴのボーカルで初期の5テイク、という事なのでこのバージョンではない、と言える。
    ただ1968年7月22日はオーケストラと共にピアノとチェレスタをジョージ・マーティンがプレイした、と書いてあるのでこの日に「歌の確認」のため、マーティンとリンゴがプレイしたものなのかも知れません。
    この収録テイクはピアノだけで歌われているが、エンディング近くで最終テイクと切り替わり、オーケストラが入ってくる。

An anecdote ~ こぼれ話

  1. このオーケストラのアレンジに対してジョンは「ちょっとやりすぎたかも」とレコーディング直後に発言している。
    この曲は子守歌としてジュリアンに書いた曲で、ジョンの多面さが顕著に出てると言えます。

各種聴き放題サービスでのビートルズ作品の取り扱い状況

Amazonプライムミュージック

ビートルズ・オリジナルアルバムはAmazonプライムの特典である「Amazon Prime Music」で「ウィズ・ザ・ビートルズ」「ビートルズ・フォー・セール」「イエロー・サブマリン」を除いて聴き放題に含まれています。(いずれも2009年リマスターのみ)

Amazonジャパンのプレスリリースはこちら。

なぜこの3つが省かれているのかが謎ですが、単体での購入もお忘れなくという事なのかも知れません。
Amazonプライムはお急ぎ便の使用や送料無料、プライムビデオなど様々な特典を含んで月間400円、年間3,900円という価格で提供されています。
ちなみにプライムビデオの方では無料のビートルズ映像作品はありませんでしたし、公式の映画やコンサートフィルムは取り扱い自体がありませんでした。
頻繁にAmazonを使う、という事であれば加入するのもよいかも知れませんがビートルズを全て楽しみたい!という方には微妙かも。

Google Play Music

Googleが提供しているGoogle Play Musicの状況はオリジナルアルバム(アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントペパーの50周年含む)は全て配信されていますが、BBCセッション、レット・イット・ビー・ネイキッドは見当たりませんね。その代わりトニー・シェリダンものやハンブルグものなど少々怪しそうな物もラインナップされてるのがちょっと面白いです。
こちらは月額980円です。公式サイトはこちら

Spotify

Spotifyでの状況はGoogle Play Musicと同じ取り扱い状況ですが、時折広告が入ったり使用時間の制限があるものの公式アルバムの曲は全曲聴けるようになっています。
この制限を外したり、ダウンロード可能にするには月額980円の使用料が必要になります。
公式サイトはこちら

Apple Music

音楽配信サービスの大御所(笑)といえばやっぱりAppleですが、ビートルズの取り扱い状況は他よりも充実しており、BBCセッション、ネイキッド、イエロー・サブマリンソングブック、そしてなんとU.S.Albums(!)も含まれています。但しこれらは単体購入のみでしか聞けないものもあります。

オリジナルアルバム、アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントの50周年エディションまでが聴き放題プランの中に含まれているので、ビートルズを楽しみたいのであればApple Musicが今の所最良の選択と言えるでしょう。

惜しむらくはモノラル盤の取り扱いがないところですが、AppleにはiTunes独占配信だった「The Beatles Bootleg Recordings 1963」があるのが大きいですね。
このアルバムも月額プランで聴けるものの中に入っています。

月額プランは個人では980円。ファミリープラン、1480円もありこちらはこの金額で6人までアクセス可能です。

参考文献

ビートルズ公式録音曲213曲を徹底的に解説!テイク違いやミックス違い、そして2009年リマスターについてを動画等を交えて書き連ねています。

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