ザ・ビートルズ楽曲データベース

Birthday

邦題
バースデイ
作者
Lennon/McCartney(実質はポールの作品)
リードヴォーカル / コーラス
ポール / ジョン、ジョージ
使用楽器
  • Epiphone Casino (John)
  • Rickenbacker 4001 (Paul)
  • Gibson Les Paul (George)
  • Ludwig (Ringo)
  • Piano (Paul)
  • Fender Rhodes
  • Tambourine
  • Hand Clap

Recording Data ~レコーディング・データ

ビートルズの本国9枚目のオリジナルアルバム、そして唯一の2枚組アルバムの「ザ・ビートルズ」 (通称:ホワイト・アルバム)のDisc2、1曲目に収められたロックナンバー。主な作者のポールがリード・ヴォーカルをとり、ジョンとジョージがコーラスをつけている。

1968年、ビートルズはシングル「レディ・マドンナ」を録音し終えた後、2月15日から3月の末までにインドに滞在した。
マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーの元で瞑想修行をするためである。
このインド滞在中にかなりの曲を書きためたビートルズは4月に帰国後、5月30日の「レボリューション1」を始めにこのアルバムのセッションを開始した。
最終的に曲は32曲録音されたが、ジョージ・マーティンは「クォリティを高めるために1枚に絞り込むべきだ」と主張。
ビートルズ側はこれを聞き入れずに最終的に30曲入りの2枚組として発売したのである。

各自の音楽家としての成長、それと共に育つエゴとプライド。
そしてセッション途中からの8トラックレコーディングの導入が、それぞれの個人作業を容易にしてしまった。
5月14日にはビートルズ自身のレコード会社「アップル」設立を発表。
ブライアン・エプスタイン不在の中、ビートルズはまったく未経験のビジネスに身を投じストレスを溜め込み始める。
お互いがお互いを助け合っていた4人のバランスが、このセッションより微妙に狂い始めたのだった。

この曲が録音されたのは1968年9月18日。
この日、英国BBC2放送では1956年のロックンロール・ムービー「The Girl Can't Help it(女はそれを我慢できない)」を午後9時05分から放映する予定だった。

余談だが、この映画は1955年以降のいわゆる「ロックンロールスター」が大挙して出演した映画で、エディ・コクラン、リトル・リチャード、ジーン・ヴィンセント、ファッツ・ドミノ、ザ・プラターズなどの「動く所」が見れる画期的な映画で、しかもワイドスクリーンでカラー制作。
「アンソロジー」の映像でもビートルズのメンバーがこの映画について語っている場面があり、
映画の映像も一部だが収録されている。(詳細はこちらのブログに書かれています。)

ビデオなどまだないこの時代、この映画をテレビでぜひとも見たいメンバーは普段よりはやくセッションを開始。
午後5時頃にはこの曲のリフが出来上がり、ポールはさっさと歌詞を書いてしまったのである。

そしてベーシックトラックを20テイク録音。
この時点で8時30分になったので、全員で(エンジニアも含む)ポールの家に行き映画鑑賞w

映画終了後、スタジオに戻ったメンバーはオーバーダブのために4トラックで録音していたこの曲を
8トラックレコーダーにコピーする。これが第21、第22テイクとなる。

そしてこの第22テイクにさまざまな楽器をオーバーダブ。
スタジオにいたパティ・ハリスン、そしてオノ・ヨーコも「Birthday」のコーラスに参加し、
ロード・マネージャーのマル・エヴァンスも手拍子で参加した。

完成直後にすぐモノラルミックスが作られた。
この時点で朝の5時になっていたそうである。
ステレオ・ミックスは後日10月14日に行われた。

Out Takes ~ミックス、テイク違い&リマスター

  1. 松本常男氏の著書「ビートルズ海賊盤事典 (講談社文庫)」によると、イタリアで売られていた8トラックテープ「Rock'n' Roll Music」にはこの曲の極端に縮められたバージョンが収録されているそうだ。
    これは聞いたことがないので、ものすごく興味がある。

An anecdote ~ こぼれ話

  1. ポールは「ハッピーバースデイ・トゥ・ユー」に代わる誕生日ソングを書こうとこの曲を書いたそうだ。
    事実、このレコーディングの6日後の9月24日はリンダ・イーストマン(後のポール夫人)の誕生日である。
    ロックンロール・ムービーが見れる!というテンションの元、こういう元気な曲調になったのかも知れません。

各種聴き放題サービスでのビートルズ作品の取り扱い状況

Amazonプライムミュージック

ビートルズ・オリジナルアルバムはAmazonプライムの特典である「Amazon Prime Music」で「ウィズ・ザ・ビートルズ」「ビートルズ・フォー・セール」「イエロー・サブマリン」を除いて聴き放題に含まれています。(いずれも2009年リマスターのみ)

Amazonジャパンのプレスリリースはこちら。

なぜこの3つが省かれているのかが謎ですが、単体での購入もお忘れなくという事なのかも知れません。
Amazonプライムはお急ぎ便の使用や送料無料、プライムビデオなど様々な特典を含んで月間400円、年間3,900円という価格で提供されています。
ちなみにプライムビデオの方では無料のビートルズ映像作品はありませんでしたし、公式の映画やコンサートフィルムは取り扱い自体がありませんでした。
頻繁にAmazonを使う、という事であれば加入するのもよいかも知れませんがビートルズを全て楽しみたい!という方には微妙かも。

Google Play Music

Googleが提供しているGoogle Play Musicの状況はオリジナルアルバム(アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントペパーの50周年含む)は全て配信されていますが、BBCセッション、レット・イット・ビー・ネイキッドは見当たりませんね。その代わりトニー・シェリダンものやハンブルグものなど少々怪しそうな物もラインナップされてるのがちょっと面白いです。
こちらは月額980円です。公式サイトはこちら

Spotify

Spotifyでの状況はGoogle Play Musicと同じ取り扱い状況ですが、時折広告が入ったり使用時間の制限があるものの公式アルバムの曲は全曲聴けるようになっています。
この制限を外したり、ダウンロード可能にするには月額980円の使用料が必要になります。
公式サイトはこちら

Apple Music

音楽配信サービスの大御所(笑)といえばやっぱりAppleですが、ビートルズの取り扱い状況は他よりも充実しており、BBCセッション、ネイキッド、イエロー・サブマリンソングブック、そしてなんとU.S.Albums(!)も含まれています。但しこれらは単体購入のみでしか聞けないものもあります。

オリジナルアルバム、アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントの50周年エディションまでが聴き放題プランの中に含まれているので、ビートルズを楽しみたいのであればApple Musicが今の所最良の選択と言えるでしょう。

惜しむらくはモノラル盤の取り扱いがないところですが、AppleにはiTunes独占配信だった「The Beatles Bootleg Recordings 1963」があるのが大きいですね。
このアルバムも月額プランで聴けるものの中に入っています。

月額プランは個人では980円。ファミリープラン、1480円もありこちらはこの金額で6人までアクセス可能です。

参考文献

ビートルズ公式録音曲213曲を徹底的に解説!テイク違いやミックス違い、そして2009年リマスターについてを動画等を交えて書き連ねています。

△ページ最上部へ移動

ザ・ビートルズ曲雑記ブログ レコーディング年表(1962-1970) ステレオ・モノラルその他テイク違い一覧表 イギリス本国でのシングルレコード一覧表