ビートルズの英国での8枚目にあたるオリジナルアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の7曲目に収録されたナンバー。作者のジョンがリード・ヴォーカルをとり、ポールがコーラスをつけている。
1966年、ビートルズには様々な変化があった。
前アルバム「リボルバー 」のレコーディング・セッション終了後、ツアーに出たビートルズは1966年8月29日のサンフランシスコ・キャンドルスティック・パークのステージを最後に一切のコンサート活動を停止する。
行く先々でのビートルマニアの熱狂、楽曲の再現の難しさ、そしてあちこちでのトラブルにメンバーは疲れ切っていた。この無意味とも思えるコンサート活動を停止すれば、レコーディングに専念できると考えたのだ。
デビュー以来、守り続けてきた「1年に2枚」のアルバム制作もこの年は初めて守られなかった。
その代わりに、クリスマスシーズン用に初のベストアルバム「オールディーズ」を発売。(未CD化)
11月24日からシングル「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」の録音を皮切りに、「もうステージはやらない」と宣言したビートルズは「架空のバンドがショーをする」というコンセプトアルバムの制作を開始したのである。
この曲は1967年2月17日に録音が開始された。
ジョンはこの曲にかなり入れ込んでたようで、録音開始する際にジェフ・エメリックが
「"For the Benefit of Mr.Kite!"テイク1、行きます」とアナウンスしたのに対し、ジョンは即座に
「違うよ。"Being For the Benefit of Mr.Kite!"」と言い返している。
リズム・トラックはベース(ポール)、ドラム(リンゴ)、ジョージ(タンバリン)、ハーモニウム(ジョージ・マーティン)で合計7テイク録音された。ジョンはガイド・ボーカルを録音している。
ベストと判断された第7テイクを使って、リダクションが2回行われ、後者を第9テイクとした。
ここで改めてジョンがヴォーカルをレコーディングする。
1967年2月20日。アビイ・ロード第3スタジオ
ジョンはこの曲を「床に敷き詰めたおがくずの匂いがするサーカスの雰囲気にしたい」と言っていた。
ポールはちゃんと言葉で指示をくれるのに対して、ジョンはあくまでイメージで発言するからみんなも大変だったそうだ。
この要望に応えるために、マーティン卿は古いスチーム・オルガンの音を録音することを思いついた。
だが、パンチ穴で自動演奏するモデルしか見つからなかったのである。
これでは曲に合わせたフレーズを弾くことができない。
そこでマーティンは、古いライブラリからスチームオルガンが含まれるテープを見つけてきた。
そのテープをジェフ・エメリックに細切れに切断させてばらまかせた。
それを適当につなぎ合わせて、サウンド・エフェクト・ループを作ってミックスしようとしたのである。
ジェフ曰く「ばらまいたのはいいけど、ほとんど元の順番のままに落ちて来ちゃった」との事w
結局、あちこち入れ替えたりしながら、合計19のテープを貼り合わせてサウンドループは完成。
この出来にジョンは大層よろこんだそうである。
このエフェクトループは、この日ミックスされることはなかった。よってこの日のセッションはテイク番号はない。
1967年3月28日。アビイ・ロード第2スタジオ。
2月17日の第9テイクに、ニール・アスピノール(ロード・マネージャー)、マル・エヴァンス(ロード・マネージャー)、リンゴ、ジョージがハーモニカを、ジョンがハモンド・オルガンを、ポールがギターをオーバーダブする。
翌日の1967年3月29日には2月20日に作ったサウンド・ループが追加。
同時にジョージ・マーティンはロータリー・オルガンを追加した。
そして1967年3月31日。
この日はもう完成品としてモノラルミックスを終わらせたが、まだ楽器が足りないと思ったのか
オリジナルの第9テイクにオルガンとグロッケンスピールを追加。
その後にリミックスを7回行って、リミックス4が完成テイクとして選ばれた。
なお、ピアノの音も聞こえるがどの時点で追加されたのかは不明である。
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ビートルズ公式録音曲213曲を徹底的に解説!テイク違いやミックス違い、そして2009年リマスターについてを動画等を交えて書き連ねています。
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