ザ・ビートルズ楽曲データベース

Penny Lane

邦題
ペニー・レイン
作者
Lennon/McCartney(ポールの作品)
リードヴォーカル / コーラス
ポール / ジョン、ジョージ
使用楽器
  • Rickenbacker 4001 (Paul)
  • Epiphone Casino(George,John)
  • Piano (John,Paul,George Martin)
  • Ludwig (Ringo)
  • Electric Piano (Paul)
  • Harmonium (Paul)
  • Conga (John)
  • Hand Bell (Ringo)
  • Tambourine (Paul)
  • Piccolo Trumpet (David Mason)
  • Brass Sections

Recording Data ~レコーディング・データ

ビートルズの英国での14枚目のシングル。1967年2月13日に発売された。
作者のポールがリード・ヴォーカルを取り、ジョンとジョージがコーラスを付けている。
カップリング曲は「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」。(両A面扱い)

この曲は元々、「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のセッション中に録音された曲で、このアルバムの先行シングルとして発売されたがアルバムには収録されなかった。

1967年11月初旬。「マジカル・ミステリー・ツアー」が2枚組EPとして英国で発表される事が決まった。
しかし、アメリカでは複数の曲をEP盤の片側に詰め込む事が一般的ではなかったため
アルバムに未収録だったこの時期のシングルを収録した編集アルバムとして、LP盤「マジカル・ミステリー・ツアー」が企画され、本国でのEP発売の10日前にキャピトルから先行発売された。
1987年のCDリリースに際して、全世界で音源そしてカタログラインナップを統一する事になり、唯一アメリカ編集盤からこのLPが選ばれて統一カタログにラインナップ入りする事となった。
この楽曲は、CDでは「マジカル・ミステリー・ツアー」の9曲目に収録されている。

録音が開始されたのは1966年12月29日。アビイ・ロード第2スタジオ。
6テイクのリズムトラックを録音して、第6テイクをベストに選ぶとポールは一人スタジオで以下の作業を行う。

  1. まず2トラックにエレピをオーバーダブ。(ギターアンプに繋いでリバーブをかけたもの)
  2. 3トラックにピアノ(テープの回転を半分にして録音)
  3. 4トラックにギターアンプにつないだハーモニウム。(イントロ部分で聞こえる甲高い音)

この日の録音はこれで終了した。

1966年12月30日。アビイ・ロード第2スタジオ。
前日の第6テイクをリダクションして第7テイクを作成。
ポールのヴォーカルとジョンのバックボーカルを回転を下げて録音。
余談だが、この日は「ホエン・アイム・シックスティー・フォー」が仕上がっている。
1966年はこの作業がビートルズ最後の仕事となった。

1967年1月4日。アビイ・ロード第2スタジオ。
第7テイクにポールのヴォーカル、ジョージのギター、ジョンのピアノを追加する。

翌日の1967年1月5日。アビイ・ロード第2スタジオ。
前日のポールのヴォーカルを再び録音しなおした。

翌日の1967年1月6日。アビイ・ロード第2スタジオ。
ここでポールのベースとジョンのギターをオーバーダブ。
リンゴの追加ドラムとジョンのコンガも録音すると、トラックがいっぱいになったのでここでリダクション。
これにより出来上がった第8テイクにジョンとジョージ・マーティンのピアノ、ハンドクラップ
そしてジョン、ポール、ジョージのスキャットコーラスをオーバーダブした後に再びリダクション。
これが第9テイクとなる。

1967年1月9日。
この日は外部ミュージシャンによる4台のフルート、2台のトランペット、
そしてフリューゲルホーンとピッコロ2台を第9テイクにオーバーダブ。

1967年1月10日。
ハンドベルをオーバーダブ。

1967年1月12日。2度目の外部ミュージシャンによるセッション。
トランペット2台、オーボエ2台、イングリッシュ・ホルン2台、そしてダブル・ベース1台を録音する。

1967年1月17日。
ポールは1月11日にテレビでクラシックコンサートの「ブランデンブルグ協奏曲第2番ホ長調」を見て、「これだ!」と思い、そのテレビで見たピッコロ・トランペット奏者、デビッド・メイスンをレコーディングに招いた。
ここで間奏とエンディングのピッコロ・トランペットが録音され、すべての録音が終了する。
その日のうちにモノラルミックスが作成されて、アメリカに送られた。

1967年1月25日。
1月17日に作成したミックスは改善の余地ありと判断されて、この日に再度ミックスされる。
しかし1月17日のミックスはすでにアメリカのラジオ曲にはプロモーション盤として出回っていたために、後にコレクターズアイテムとなる。

Out Takes ~ミックス、テイク違い&リマスター

  1. ミックス時のゴタゴタのせいか、この曲にはかなりのミックス違いが存在していた。
    モノラル盤はステレオ盤に比べて若干キーもテンポも高くなっている。
    1. 間奏前の「It's a clean Machine」の直後にトランペットのフレーズが入るバージョン。
      (「The Beatles 1967-1970」のカラーレコード盤に収録されている)
    2. 俗に言う「トランペット・エンディングバージョン」。1月17日のミックスでラジオ曲に配布された物である。
    3. 上記の1と2を組み合わせたバージョン。 (「レアリティーズVol.2」や「The Beatles Box」に収録されている)
  2. The Beatles Anthology 2」には、間奏が管楽器の合奏になっていて、トランペットエンディングになっている編集バージョンが収録されている。
  3. 2017年に発売されたこのアルバムの50周年記念盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)」にテイク6、ボーカルオーバーダブの様子、オリジナルモノミックス、US盤プロモーションバージョン、そして新たにリミックスされた2017年ステレオリミックスが収録されている。

    テイク6は曲の制作過程を示す非常に興味深い音源で、数台のピアノ、パーカッション類、ハーモニウムなどで構成されたインスト。録音はキーC(リリースされた音源は若干回転が下げられているためにキーが下がっている)。まずはピアノバッキングだけで曲を構成してこれをピンポンしてから各楽器をオーバーダビングしていった様子が伺える。

    ボーカルオーバーダブの様子は恐らく1967年1月8日のテイク8にバックボーカルと手拍子をオーバーダブしている所だと思われます。(後ろに流れてるテイクがすでにボーカルが入っているので)これを聞いてびっくりしたのがポールとジョージが2人で行っているという事。
    ちょっとこの組み合わせってなかなかないのでは?ホーンのフレーズをスキャットで行っている事からこの時点ですでにフレーズは決まっていたんですね。

    オリジナルモノミックスは2009年にリリースされた「モノボックス」の物と違いがわかりません。こちらはリミックスナンバーで言うと14番になります。
    U.S.プロモバージョンはリミックスナンバー11番なのでエンディングにトランペットが入るバージョンですが、マスターテープがすでに無いために盤起こしが使われているようでめちゃめちゃ音が悪いです。

    そして新たに作られたステレオリミックス2017の分離の良さが感動です!
    左側から這うように聞こえるストリングスなど今まででは聞こえにくかった音も聞こえています。

An anecdote ~ こぼれ話

  1. この曲も「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」と同じく、故郷リヴァプールに実在する「通り名」を題材にした曲である。この時期に二人がそれぞれ故郷にちなんだ曲を書いたというのもおもしろい。
  2. もちろん通り名であるからには、この通りには「Penny Lane」と書かれた標識があった。
    しかしこの曲のリリース以降、ファンによる盗難が相次いだためにペンキで直接描かれる事になった。
    ファンというのは恐いもので、そのペンキの上に記念カキコをする人間が続出。
    小説家のクライヴ・バーカーは子供の頃をペニー・レインで過ごしたのだが、この様に看板が塗りつぶされた状態であったために、その通りの名前を知らずに育ったそうな。
  3. この曲はデビュー曲の「ラヴ・ミー・ドゥ」を除いて、唯一英国チャート1位を取れなかったシングルである。
    その時1位に居座っていたのはエンゲルベルト・フンパーディングの「リリース・ミー」。
    「ビートルズ大百科」の著者ネヴィル・スタナードはこの事をボロクソに書いていた記憶がある。
    確か「この曲が1位を取れずにあんなクソみたいな曲が1位になるとはイギリスの恥」みたいな文章だった。

各種聴き放題サービスでのビートルズ作品の取り扱い状況

Amazonプライムミュージック

ビートルズ・オリジナルアルバムはAmazonプライムの特典である「Amazon Prime Music」で「ウィズ・ザ・ビートルズ」「ビートルズ・フォー・セール」「イエロー・サブマリン」を除いて聴き放題に含まれています。(いずれも2009年リマスターのみ)

Amazonジャパンのプレスリリースはこちら。

なぜこの3つが省かれているのかが謎ですが、単体での購入もお忘れなくという事なのかも知れません。
Amazonプライムはお急ぎ便の使用や送料無料、プライムビデオなど様々な特典を含んで月間400円、年間3,900円という価格で提供されています。
ちなみにプライムビデオの方では無料のビートルズ映像作品はありませんでしたし、公式の映画やコンサートフィルムは取り扱い自体がありませんでした。
頻繁にAmazonを使う、という事であれば加入するのもよいかも知れませんがビートルズを全て楽しみたい!という方には微妙かも。

Google Play Music

Googleが提供しているGoogle Play Musicの状況はオリジナルアルバム(アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントペパーの50周年含む)は全て配信されていますが、BBCセッション、レット・イット・ビー・ネイキッドは見当たりませんね。その代わりトニー・シェリダンものやハンブルグものなど少々怪しそうな物もラインナップされてるのがちょっと面白いです。
こちらは月額980円です。公式サイトはこちら

Spotify

Spotifyでの状況はGoogle Play Musicと同じ取り扱い状況ですが、時折広告が入ったり使用時間の制限があるものの公式アルバムの曲は全曲聴けるようになっています。
この制限を外したり、ダウンロード可能にするには月額980円の使用料が必要になります。
公式サイトはこちら

Apple Music

音楽配信サービスの大御所(笑)といえばやっぱりAppleですが、ビートルズの取り扱い状況は他よりも充実しており、BBCセッション、ネイキッド、イエロー・サブマリンソングブック、そしてなんとU.S.Albums(!)も含まれています。但しこれらは単体購入のみでしか聞けないものもあります。

オリジナルアルバム、アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントの50周年エディションまでが聴き放題プランの中に含まれているので、ビートルズを楽しみたいのであればApple Musicが今の所最良の選択と言えるでしょう。

惜しむらくはモノラル盤の取り扱いがないところですが、AppleにはiTunes独占配信だった「The Beatles Bootleg Recordings 1963」があるのが大きいですね。
このアルバムも月額プランで聴けるものの中に入っています。

月額プランは個人では980円。ファミリープラン、1480円もありこちらはこの金額で6人までアクセス可能です。

参考文献

ビートルズ公式録音曲213曲を徹底的に解説!テイク違いやミックス違い、そして2009年リマスターについてを動画等を交えて書き連ねています。

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