ビートルズの11枚目の英国オリジナルアルバム「アビイ・ロード
」の4曲目に収められているナンバー。
このアルバムは1969年9月26日に発売された。
作者のポールがリード・ヴォーカルを取り、ジョンとジョージがコーラスをつけている。
運命の1969年。年が明けてすぐの1月2日。ビートルズはトゥイッケナム・フィルム・スタジオに姿を現した。
混沌とする活動状況を打破する為に、ポールが打ち出したのは「原点に帰る」というコンセプトだった。
デビュー以来の、全世界をコンサートで飛び回っていたあの頃に帰る、という事。
オーバーダブなどしなかった(出来なかった)あの頃に・・・・!
ポールはコンサートツアーの再開を提案したが、他の3人は難色を示す。
妥協案として1度だけのコンサートも企画されたが、これも結局流れてしまった。
最終的にリハーサルなどを含むドキュメンタリーを制作しテレビで放送する、という事で合意した4人は
このフィルムスタジオでリハーサルを開始した。「ゲット・バック(原点に帰る)・セッション」の始まりである。
しかし、いつも撮影されているというプレッシャー、そして薄ら寒いだけの撮影スタジオという慣れぬ環境。
張り切るポールはあれやこれやとジョージに指示、ジョージはそれに反発して口論となり
5ヶ月前にリンゴがしたように、1月10日にスタジオを飛び出してしまう。
数日後にジョージは復帰するが、テレビショウに関しては意見を曲げず、結局この企画は流れてしまう。
映像撮影、そして「オーバーダブをやらない」というコンセプトのアルバム制作は続行されるものの
1969年1月30日のルーフトップ・コンサート、そして翌日のセッションをもってこのプロジェクトを放棄。
総時間、90時間以上の撮影・録音テープを残したまま、ビートルズはアップルスタジオを去ったのだった。
後にこの撮影テープは映画「レット・イット・ビー」となり、
録音物はフィル・スペクターの手によってアルバム「レット・イット・ビー」としてまとめられ、
ビートルズのラスト・アルバムとして翌年の1970年5月8日に発売される。
あの苦しいセッションが終了してしばらく経った頃。ポールはジョージ・マーティンに電話をかけた。
「もう一枚アルバムを作ろうと思うんだけど、またプロデュースしてくれないかな?本当の意味でね。」
マーティンは「本当に昔の様にできるならいいけど、そうじゃないなら断るよ。」と応え、これを了承した。
4人はすでにバラバラになっているにも関わらず、再びアビイ・ロードスタジオに集結する。
・・・・・・・最後の奇跡を形にするために。
この曲が取り上げられたのは1969年1月27日の「ゲット・バック・セッション」中の出来事である。
サヴィル・ロウにあったアップル・スタジオで初めてリハーサルされた。
それから約3ヶ月後の1969年4月20日。
アビイ・ロード第2スタジオにて正式な録音開始。
ベーシック・トラックはライブで録音されて、合計26テイクを数えた。
ドラム(リンゴ)、ベース(ポール)、ピアノ(ジョン)、ギター(ジョージ)の編成。
第26テイクにオルガンをオーバーダブする。(これは後に削除された)
1969年4月20日。
アビイ・ロード第2スタジオ。
この日、正式なポールのリードヴォーカル録音が第26テイクに対して行われる。
その後にはリンゴの「オクトパスズ・ガーデン」のセッションが開始された。
しばらく日をおいた1969年7月17日。
アビイ・ロード第2スタジオ。
この頃にはアルバムとして完成させる事がメンバーの間で確認できていたようだ。
ポールはこの日、なぜか第16テイクにリード・ヴォーカルを録音。
この日からしばらく、ポールは一人で朝一番(といっても昼過ぎだが)でスタジオにきて、
この曲を1回だけ歌って録音するという作業を繰り返すことになる。
これは何度も歌い込んで、メロディーを自分の物にするのと
朝一番(もしくは寝る前)の一番声の調子いい時を狙って録音を繰り返したのと思われる。
ポールはボソリと「5年前ならこんなの簡単にできたのに・・・・」とつぶやいたそうだ。
翌日の1969年7月18日。アビイ・ロード第2スタジオ。
この日は第26テイクにヴォーカルを録音する。
この日以降のヴォーカルはすべて第26テイクにオーバーダブされた。
1969年7月22日。アビイ・ロード第3スタジオ。
またもやヴォーカルを再録音する。
1969年7月23日。アビイ・ロード第3スタジオ。
しつこくヴォーカルを再録音する。
1969年8月11日。アビイ・ロード第2スタジオ。
ジョンとジョージによるバッキングボーカルを第26テイクにオーバーダブ。
これでこの曲は完成に至る。
結局、7月23日テイクのヴォーカルが採用された。
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ビートルズ公式録音曲213曲を徹底的に解説!テイク違いやミックス違い、そして2009年リマスターについてを動画等を交えて書き連ねています。
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