ビートルズの英国での8枚目にあたるオリジナルアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の4曲目に収録されたナンバー。作者のポールがリード・ヴォーカルをとり、ジョンとジョージがコーラスをつけている。
1966年、ビートルズには様々な変化があった。
前アルバム「リボルバー 」のレコーディング・セッション終了後、ツアーに出たビートルズは1966年8月29日のサンフランシスコ・キャンドルスティック・パークのステージを最後に一切のコンサート活動を停止する。
行く先々でのビートルマニアの熱狂、楽曲の再現の難しさ、そしてあちこちでのトラブルにメンバーは疲れ切っていた。この無意味とも思えるコンサート活動を停止すれば、レコーディングに専念できると考えたのだ。
デビュー以来、守り続けてきた「1年に2枚」のアルバム制作もこの年は初めて守られなかった。
その代わりに、クリスマスシーズン用に初のベストアルバム「オールディーズ」を発売。(未CD化)
11月24日からシングル「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」の録音を皮切りに、「もうステージはやらない」と宣言したビートルズは「架空のバンドがショーをする」というコンセプトアルバムの制作を開始したのである。
この曲は1967年3月9日、アビイ・ロード第2スタジオにて録音が開始された。
ちょっと前までは朝から来て終電までにはセッションを終わらせてたビートルズだが、
この頃になると「ビートルズさん待ち」とも呼べる状況も多くなってきており(要するに『エラなりはった』という意)、この日にジェフ・エメリックの代わりとしてエンジニアを担当していたマルコム・アデイによると
「午後7時からのセッションの予定が、リンゴが来たのは11時でそこからポツリポツリとメンバーが集まりだして、結局この日は午前1時頃からセッションが開始された。」という事だそうだ。
ビートルズはこの日、リズムトラックを7テイク録音。
ギター×2、ベース、ドラムス。マーティン卿のピアノの編成である。
ただし、マーティン卿はピアノを鍵盤ではなく直接弦を叩いていたそうだ。
ベストの第7テイクの4トラック全ての音を、別のレコーダーの1トラックにミックスダウンする作業が5回行われて5回目を第12テイクとしてリズム・トラックの制作を終える。
翌日の1967年3月10日にジョージのタンブーラ、ポールのベース、リンゴのドラムを追加。
1967年3月21日にヴォーカルとコーラスが録音された。
この日、リンゴのコーラスを録音する必要がなかったために、彼は家で休んでいた。
しかしポールが「ドラムを録音しなおすべきだ」と主張したために、リンゴは電話で呼び出される。
ポールはリンゴが来るまでの間、ジェフ・エメリックらとフェーダー操作をしながらこの曲を何度も聞き返すうちに
「やっぱオリジナルレコーディングでいけるわwww」と言い出して、リンゴの家にキャンセル電話を入れる。
しかし、リンゴはもう車でスタジオに向かってる途中だった・・・・・・・。
ここらへんからポールの「周りの見えなさっぷり」が発揮されてきている、という格好のエピソードではある。
ジョンもこの日、体調が悪くて「気分が悪いので休憩したい」と言い出した。
マーティン卿は外の空気を吸わせるのが一番だと思ったが、スタジオの周りにはファンがうろついてるので危険と判断して、ジョンを屋上に連れて行ったそうだ。
しばらくしてポールが「あれ?ジョンは?」と聞くのでマーティン卿は「屋上だよ」と答えたのだが
やがてポールの血相が変わる。ポールはなぜジョンの体調が悪いかを知っていたからだ。
この時、ジョンはLSDのバッド・トリップ真っ最中だったのである。
スタジオの屋上は柵も何も設置されていない事を思い出したメンバーは、慌ててジョンを引きずりおろしたそうである。
この日は第12テイクをリダクションして、空きトラックを作り第14テイクを作成。
1967年3月23日。
例のジョンの事もあり、この日ボーカルセッションをやり直して、再度リダクションを行い第15テイクを作成。
最後にリンゴのボンゴを録音してこの曲は完成に至った。
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ビートルズ公式録音曲213曲を徹底的に解説!テイク違いやミックス違い、そして2009年リマスターについてを動画等を交えて書き連ねています。
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