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She's Leaving Home

She's Leaving Home

邦題
シーズ・リーヴィング・ホーム
作者
Lennon/McCartney(ポールの作品)
リードヴォーカル / コーラス
ポール / ジョン
使用楽器
  • Violin (Erich Gruenberg)
  • Violin (Derek Jacobs)
  • Violin (Trevor Williams)
  • Violin (Jose Luis García)
  • Viola (John Underwood)
  • Viola (Stephen Shingles)
  • Cello (Dennis Vigay)
  • Cello (Alan Dalziel)
  • Double Bass (Gordon Pearce)
  • Harp (Sheila Bromberg)

レコーディング・データ

ビートルズの英国での8枚目にあたるオリジナルアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の6曲目に収録されたナンバー。作者のポールがリード・ヴォーカルをとり、ジョンがコーラスをつけている。
この曲の演奏は全て外部ミュージシャンによって録音され、ジョージ、リンゴはセッションに参加していない。

1966年、ビートルズには様々な変化があった。
前アルバム「リボルバー 」のレコーディング・セッション終了後、ツアーに出たビートルズは1966年8月29日のサンフランシスコ・キャンドルスティック・パークのステージを最後に一切のコンサート活動を停止する。
行く先々でのビートルマニアの熱狂、楽曲の再現の難しさ、そしてあちこちでのトラブルにメンバーは疲れ切っていた。この無意味とも思えるコンサート活動を停止すれば、レコーディングに専念できると考えたのだ。

デビュー以来、守り続けてきた「1年に2枚」のアルバム制作もこの年は初めて守られなかった。
その代わりに、クリスマスシーズン用に初のベストアルバム「オールディーズ」を発売。(未CD化)
11月24日からシングル「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」の録音を皮切りに、「もうステージはやらない」と宣言したビートルズは「架空のバンドがショーをする」というコンセプトアルバムの制作を開始したのである。

この曲は1967年3月17日に録音が開始された。
ジョージ・マーティンはこの時すでにEMIを退社して、フリーとなっておりビートルズ以外ともたくさん仕事をしていた。
決して、ビートルズ専属のプロデューサーではなかったのだ。
ポールはこの曲のストリングスアレンジをいつもの様にマーティン卿に依頼した。
しかし、その時他にも仕事を抱えていた彼は「今すぐにはちょっと出来ないんだ。」とポールに告げると
完成を急ぐあまりポールは別のアレンジャーである、マイク・リーンダーに連絡を取って依頼してしまったのだ。

この出来事はひどくマーティン卿を立腹させ、そして傷つけた。
しかし彼はこの日のセッションを仕切り、少しだけスコアを書き換えてこの曲のバックトラックを6テイク録音した。
セッションのテープを聞くところ、この日ポールはスタジオに来ていなかったようである。
あとでマーティン卿の気持ちを聞いたポールは大変驚いたそうだ。
「これが・・・・・若さか・・・・・」という事なのだろう。

1967年3月20日。「ベスト」と判断された第1テイクをリダクションして空きトラックを作り、
そこにポールとジョンのヴォーカルを2回ずつ録音して、この曲は完成に至る。
実際には第6テイクもリダクションされたようだが、このテイクは使用されなかった。

ミックス、テイク違い&リマスター

  1. ステレオ盤に比べてモノラル盤はかなり速度が上げられている。
    故に、半音ぐらいの差が出ている。
  2. 2017年に発売されたこのアルバムの50周年記念盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)」にテイク1およびテイク6(共にボーカルなし)、そしてファースト・モノ・ミックスが収録されている。
    外部にアレンジを依頼されて傷ついたマーティン卿が仕切っているセッションの記録ですが、この2つのテイクをヘッドホンで聴くと臨場感がスゴい!
    弓がどこかに当たる音などもそのまま消さずにリミックスしてあるのですぐそこに演者がいるような感覚がします。
    テイク6が始まる前に「テンポは大丈夫かなポール?」とマーティン卿がつぶやいているのが聞こえますが、確かポールはセッションには来ていなかったのでは・・
    そしてテイク6はほんの少しだけテンポが早くなっています。

    ファースト・モノ・ミックスはイントロのハープに強力なエフェクト(ADT)処理されていますが、記録によるとこれは即却下されたようです。そしてサビからAメロに戻る時に1小節長くなってますが、これも正式リリースの際にはカットされました。
  3. 今回のアウトテイクでこのバックトラックのキーがもともとEなのを確認出来る事から、ステレオバージョンはそのままで、そしてモノラルは回転を上げてキーをFにした事がわかります。
    そしてモノラル盤のリミックスにはメンバーが立ち会ってたがステレオ盤のリミックスはメンバー不在でした。
    今回の50周年のリミックスでのこの曲はステレオミックスなのにキーとテンポはモノラルという処理がされていて、個人的な感想としてはこれはちょっと気持ち悪かったなあ、と。
    メンバーが立ち会ってた事を尊重したのであれば、他の曲の処理もモノラル盤に準拠したままステレオ化すればよかったのになあと思うんですよねえ。この曲だけっていうチョイスがなんかイヤでした。

こぼれ話

  1. この曲のタイトル、および内容は新聞に書かれたある家出少女の記事から取られている。
    実際に少女が家出したのは歌詞に出てくる「水曜日の朝5時」ではなく、両親が不在だった午後。
    ジョンが歌う部分の歌詞は、ほとんど新聞記事のまま流用されたそうである。
  2. なお、イントロから聞こえるハープを弾いているのはシーラ・ブロンバーグで、ビートルズのレコーディングに参加した外部ミュージシャンでは初の女性演奏者である。

聴き放題サービスでのビートルズの取扱状況

Amazonプライムミュージック

ビートルズ・オリジナルアルバムはAmazonプライムの特典である「Amazon Prime Music」で「ウィズ・ザ・ビートルズ」「ビートルズ・フォー・セール」「イエロー・サブマリン」を除いて聴き放題に含まれています。(いずれも2009年リマスターのみ)

Amazonジャパンのプレスリリースはこちら。

なぜこの3つが省かれているのかが謎ですが、単体での購入もお忘れなくという事なのかも知れません。
Amazonプライムはお急ぎ便の使用や送料無料、プライムビデオなど様々な特典を含んで月間400円、年間3,900円という価格で提供されています。
ちなみにプライムビデオの方では無料のビートルズ映像作品はありませんでしたし、公式の映画やコンサートフィルムは取り扱い自体がありませんでした。
頻繁にAmazonを使う、という事であれば加入するのもよいかも知れませんがビートルズを全て楽しみたい!という方には微妙かも。

Google Play Music

Googleが提供しているGoogle Play Musicの状況はオリジナルアルバム(アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントペパーの50周年含む)は全て配信されていますが、BBCセッション、レット・イット・ビー・ネイキッドは見当たりませんね。その代わりトニー・シェリダンものやハンブルグものなど少々怪しそうな物もラインナップされてるのがちょっと面白いです。
こちらは月額980円です。
公式サイトはこちら

Spotify

Spotifyでの状況はGoogle Play Musicと同じ取り扱い状況ですが、時折広告が入ったり使用時間の制限があるものの公式アルバムの曲は全曲聴けるようになっています。
この制限を外したり、ダウンロード可能にするには月額980円の使用料が必要になります。
公式サイトはこちら

Apple Music

音楽配信サービスの大御所(笑)といえばやっぱりAppleですが、ビートルズの取り扱い状況は他よりも充実しており、BBCセッション、ネイキッド、イエロー・サブマリンソングブック、そしてなんとU.S.Albums(!)も含まれています。但しこれらは単体購入のみでしか聞けないものもあります。

オリジナルアルバム、アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントの50周年エディションまでが聴き放題プランの中に含まれているので、ビートルズを楽しみたいのであればApple Musicが今の所最良の選択と言えるでしょう。

惜しむらくはモノラル盤の取り扱いがないところですが、AppleにはiTunes独占配信だった「The Beatles Bootleg Recordings 1963」があるのが大きいですね。
このアルバムも月額プランで聴けるものの中に入っています。

月額プランは個人では980円。ファミリープラン、1480円もありこちらはこの金額で6人までアクセス可能です。

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