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なにげなくコンビニで手にしたこの漫画。あの「ジパング」のかわぐちかいじ氏の新作です。2012年5月現在はコミックス10巻まで発売され、無事に完結しました。
「僕はビートルズ」ってなんじゃいね、と最初は思いましたが読んでみるとなるほど、2010年に住む若者ビートルズコピーバンド「ファブ・フォー」が、解散ライブの日に1961年(ビートルズデビュー前)にタイムスリップしてしまい「この世界なら俺たちが先にビートルズになれる!」と紆余曲折ながら活動していくというストーリー。
先にビートルズになろうと率先していくのがポール役で、それに反対するのがジョン役ってのもファンなら「ははあ」とニヤリとできる設定。
「お前はビートルズになりたくないのか?」と問うマコト(ポール)に対して、レイ(ジョン)が「オレはお前よりビートルズが好きなんだよ」と返す場面は、あの解散直後(1971年)の罵詈雑言の浴びせあいを思い出す人も多いのではないでしょうか。
現在、この漫画はモーニング誌にて連載中との事ですが、ファブ・フォーの面々(1961年の時点ではショウ(ジョージ)とマコト(ポール)の二人組)が発表した「抱きしめたい」を聴いて、本物のビートルズは落胆して解散してしまうそうです。
こういう設定に嫌悪感を示すファンの人もいるでしょうけども、僕は個人的に好きだなあ。
ビートルズが題材のSFマンガってなかなか見れるもんじゃないですし、楽器をやってる者ならば「この曲が自作曲だったら!」と妄想する事も絶対にあるでしょうしね(笑)。
1961年にヘフナーを入手する為に右往左往する(コミックス2巻)場面がとてもおもしろいです。
ただ・・・・・
最初にレイとマコトが出会うのは学園祭。(あの教会でのコンサート?うんうん)
マコトとショウ(ジョージ役)が二人で
「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」をやるんですが、
どうしてマコトがヘフナーを指弾きしている描写なのか!とか
2011年でのステージで「イエスタデイ」を演奏する際に、マコト(ポール)がJ-160Eに持ち替えて
ショウ(ジョージ)がベースに持ち替えるんですが、なんでいきなりヘフナーが右利き用になってたりするのか!などなどツッコめる要素もいっぱい。(かわぐち氏はこのマンガを描くにあたって楽器を全部購入したそうです。)
これからが楽しみな漫画であります。
※2012/5/30 追記
全10巻、読み終えました。感想を先に言うと「おもしろかった」の一言です。
「盗作する事を屁とも思わないのが~」とかなんかとても頭固い事をおっしゃる人々をTwitter等で見かけますが、何をそんなにムキになってんのかがさっぱり理解できません。マンガじゃないっスか。娯楽じゃないッスか。
全10巻を通して、自分が思った感想は実際に楽器を手に持ってビートルズサウンドに近づこうとした人間じゃないと、このストーリーの神髄はわからないのじゃないか、という事でした。
主人公が日本人として設定されてるのも、
「言葉の壁」という一番の壁を感じた者だからこそなのでは。
実際、このエピソードは劇中で登場するブライアン・エプスタインによって語られています。
そして、ここに書いてある213曲がどこのアルバムに入ってるか全て記憶してて、
iPodでシャッフルで聞くのも有線のビートルズチャンネルのあの曲順の
ムチャクチャさも許せない様な人でないと、
劇中に登場したビートルズによる214曲目への想いは伝わりにくいと思いますね。
原作者の方は過去バンドをやられてた経験があるそうで。
真剣にビートルズサウンドに近づこうとすればするほど袋小路にハマって頭を抱え、
曲を作ろうとしてもビートルズの影から逃れられないジレンマ。
それが全10巻を通じて痛いほど伝わってきました。
エンディングのレイの言葉「オレ達はビートルズじゃないって事だ」のセリフがどう聞こえるのか、がこのマンガにおける「踏み絵」なのでしょう。
全10巻、本当にお疲れ様でした。そして楽しいマンガをどうもありがとうございました。
P.S.かわぐちさんへ
「プリーズ・プリーズ・ミー」でマコトが指弾きしてるのはさすがにどうかと・・・・・