ザ・ビートルズ楽曲データベース

The Fool On The Hill

邦題
フール・オン・ザ・ヒル
作者
Lennon/McCartney(ポールの作品)
リードヴォーカル / コーラス
ポール / -
使用楽器
  • Bass Harmonica (John,George)
  • Rickenbacker 4001 (Paul)
  • Framus 12-String Guitar(George)
  • Ludwig (Ringo)
  • Piano (Paul)
  • Finger Symbals (Ringo)
  • Maracas (John)
  • Metal Shaker
  • Flute (Richard Taylor)
  • Flute (Jack Ellory)

Recording Data ~レコーディング・データ

ビートルズが企画した映画「マジカル・ミステリー・ツアー」のサウンドトラック盤(イギリスでは2枚組EP盤として発売された)のディスク2のA面1曲目に収められたクラシカルな雰囲気をもつバラード・ナンバーである。作者のポールがリード・ヴォーカルをとっている。

映画ではフランスのニースで撮影された風景の中でポールが一人で演技(?)する場面で使われている。

この6曲入りEP盤のセッションはアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のセッションが終わり、まだ発売もされていない1967年4月25日から開始されている。(「サージェントのミックスダウンが終わったのは5日前の4月20日!)

アメリカでは複数の曲をEP盤の片側に詰め込む事が一般的ではなかったために、
アルバムに未収録だったこの時期のシングルを収録した編集アルバムとして、LP盤「マジカル・ミステリー・ツアー」が企画され、本国でのEP発売の10日前にキャピトルから先行発売された。
1987年のCDリリースに際して、全世界で音源そしてカタログラインナップを統一する事になり、唯一アメリカ編集盤からこのLPが選ばれて統一カタログにラインナップ入りする事となった。
現行のCDでは「マジカル・ミステリー・ツアー」の2曲目に収録されている。

1967年9月6日にこの曲はまず、ポールのピアノ弾き語りがデモテープとして録音される。
このレコーディングの数日前、1967年8月27日にデビュー以来のマネージャーであった、ブライアン・エプスタインが死亡している。ビートルズは「船頭」と呼べる唯一の人を失いながらも、まずこのテレビ映画のプロジェクトを完成させるべく動き始めたのである。

そして1967年9月25日。9月6日のデモテープを参考にビートルズは正規の録音を開始する。
ジョンとジョージのハーモニカを含むリズムトラックを3テイク録音。
ベストと判断された第3テイクをリダクションして第4テイクを作成。
これにポールのリコーダー、リンゴのドラム、そしてポールのリードヴォーカルを追加する。

翌日の1967年9月26日。
この日は資料によると「ほとんどの楽器が入れ替わった」と書かれているが
どの楽器がベーシックトラックに残っているかまでは不明。
この日に録音された楽器はピアノ、アコギ、ドラム、ベースと書かれている。
たぶん、これらを入れ替えた後にリダクションを2度行って第6テイクを作成したと思われる。

その翌日、1967年9月27日。
ポールの追加ヴォーカル(どの部分かは不明。この曲はダブルトラック処理はされていない)を録音。

1967年10月20日。
外部ミュージシャンが招かれて、フルートの録音。
これを持ってこの曲は完成に至った。

Out Takes ~ミックス、テイク違い&リマスター

  1. The Beatles Anthology 2」に1967年9月6日のデモテイク、 1967年9月25日の第4テイクが収録されている。
    イントロのピアノからすでにフレーズが違うし、回転も若干遅い。翌日の9月26日に楽器がほとんど入れ替わったと資料には書かれているのだが、逆にこの中の何がリリースバージョンまで残ったのだろうか・・。曲のサイズも若干違う。

An anecdote ~ こぼれ話

  1. 映画でのこの曲の場面は、さながらポールというソロアーティストのプロモビデオのようだが、実際ポールが(メンバーでは)一人でフランスのニースに飛んで撮影してきたものである。ただしフランスに着いてからレンズのカメラをイギリスに忘れて来たことに気づいたりとか、けっこうグダグダだったらしいw
    当時、この映画は酷評されたそうだが、この曲の場面に関しては今でも通用しそうなセンスだと思う。
  2. この曲は、地動説を唱えて蟄居を命じられたガリレオ・ガリレイをモチーフに書かれた曲である。
  3. 2011年8月、テレビドラマ「花ざかりの君へ~イケメンパラダイス2011」の中でAKB48の前田敦子が着ていたTシャツ前面に[fool on the hill friends]、背面に[Little Boy]と書かれていたのが発端でちょっとした騒動になった。
    「フジテレビは最近韓国推しがひどい」と話題になってる時、それプラス広島の原爆記念日に近いという事で「島国の馬鹿にリトルボーイを」という解釈としてネット内に広まってしまったのである。
    この曲を知らない世代が増えてきたという事実、そしてHillを島国と訳してしまうネット内住人の傍若無人さがよく表れた騒動だったと言えましょう。
    個人的にはとってもアホらしいなあと思ってますけども。

Youtube

各種聴き放題サービスでのビートルズ作品の取り扱い状況

Amazonプライムミュージック

ビートルズ・オリジナルアルバムはAmazonプライムの特典である「Amazon Prime Music」で「ウィズ・ザ・ビートルズ」「ビートルズ・フォー・セール」「イエロー・サブマリン」を除いて聴き放題に含まれています。(いずれも2009年リマスターのみ)

Amazonジャパンのプレスリリースはこちら。

なぜこの3つが省かれているのかが謎ですが、単体での購入もお忘れなくという事なのかも知れません。
Amazonプライムはお急ぎ便の使用や送料無料、プライムビデオなど様々な特典を含んで月間400円、年間3,900円という価格で提供されています。
ちなみにプライムビデオの方では無料のビートルズ映像作品はありませんでしたし、公式の映画やコンサートフィルムは取り扱い自体がありませんでした。
頻繁にAmazonを使う、という事であれば加入するのもよいかも知れませんがビートルズを全て楽しみたい!という方には微妙かも。

Google Play Music

Googleが提供しているGoogle Play Musicの状況はオリジナルアルバム(アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントペパーの50周年含む)は全て配信されていますが、BBCセッション、レット・イット・ビー・ネイキッドは見当たりませんね。その代わりトニー・シェリダンものやハンブルグものなど少々怪しそうな物もラインナップされてるのがちょっと面白いです。
こちらは月額980円です。公式サイトはこちら

Spotify

Spotifyでの状況はGoogle Play Musicと同じ取り扱い状況ですが、時折広告が入ったり使用時間の制限があるものの公式アルバムの曲は全曲聴けるようになっています。
この制限を外したり、ダウンロード可能にするには月額980円の使用料が必要になります。
公式サイトはこちら

Apple Music

音楽配信サービスの大御所(笑)といえばやっぱりAppleですが、ビートルズの取り扱い状況は他よりも充実しており、BBCセッション、ネイキッド、イエロー・サブマリンソングブック、そしてなんとU.S.Albums(!)も含まれています。但しこれらは単体購入のみでしか聞けないものもあります。

オリジナルアルバム、アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントの50周年エディションまでが聴き放題プランの中に含まれているので、ビートルズを楽しみたいのであればApple Musicが今の所最良の選択と言えるでしょう。

惜しむらくはモノラル盤の取り扱いがないところですが、AppleにはiTunes独占配信だった「The Beatles Bootleg Recordings 1963」があるのが大きいですね。
このアルバムも月額プランで聴けるものの中に入っています。

月額プランは個人では980円。ファミリープラン、1480円もありこちらはこの金額で6人までアクセス可能です。

参考文献

ビートルズ公式録音曲213曲を徹底的に解説!テイク違いやミックス違い、そして2009年リマスターについてを動画等を交えて書き連ねています。

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