ザ・ビートルズ楽曲データベース

One After 909

邦題
ワン・アフター・909
作者
Lennon/McCartney(二人の共作?)
リードヴォーカル / コーラス
ポール、ジョン / -
使用楽器
  • Höfner Bass (Paul)
  • Epiphone Casino (John)
  • Fender Telecaster (George)
  • Ludwig (Ringo)
  • Fender Rhodes (Billy Preston)

Recording Data ~レコーディング・データ

ビートルズの12枚目の英国オリジナルアルバム、そしてラストアルバムとなった「レット・イット・ビー」の9曲目に収められているナンバー。
1970年5月8日に発売されているこのアルバムだが、録音は前アルバム「アビイ・ロード」より前に行われている。
ほとんどジョンとポールのデュエットで歌われており、中間部分でジョンがソロを取っている。
ジョンは「自分が作った」と発言し、ポールは「共作した」と発言しており、意見が分かれている。

この曲は実は1960年頃には完成しており、ごく初期のバージョンを映像「アンソロジー」で聞くことが出来る。
(ベースがまだスチュアート・サトクリフの時代の録音である。)

そして1963年3月5日。
アビイ・ロード第2スタジオにてシングル「フロム・ミー・トゥ・ユー」のセッションの際に、
この曲は5テイク録音されているが未発表となった。
後にこの日の編集テイクが「The Beatles Anthology 1」に収められている。

そして数年後の1969年1月28日。サヴィル・ロウのアップルスタジオでの録音セッション。
ビートルズは再びこの曲を取り上げて、アップテンポのアレンジにリメイクする。

翌日の1969年1月29日のアップルスタジオでのセッションでもこの曲を演奏している。

1969年1月30日。この日はアップル屋上での「ルーフ・トップ・コンサート」。
ビートルズはこの曲をライブ演奏し、このテイクが映画「レット・イット・ビー」そしてアルバムに収録された。

ちなみにこの「ルーフ・トップ・コンサート」のセットリストは以下。

  1. Get Back (リハーサルテイク)
  2. Get Back
  3. Don't Let me Down
  4. I've Got a Feeling(映画、アルバムに使用されたのはこのバージョン)
  5. One After 909(映画、アルバムに使用されたのはこのバージョン)
  6. Dig a Pony(映画、アルバムに使用されたのはこのバージョン。)
  7. God Save the Queen(英国国歌。テープ交換の際に演奏された即興)
  8. I've Got a Feeling
  9. Don't Let me Down
  10. Get Back(後に「The Beatles Anthology 3」に収録された。)

About from "Get Back" to "Let it be" ~アルバム発売までの経緯

1968年10月に「ザ・ビートルズ」 (通称:ホワイト・アルバム)のセッションが終了。
マネージャーだったブライアン・エプスタインの死後、船頭を失ったビートルズはアップルの設立など、
半ば無茶とも思える試みを行ってきた。
華々しく見えたビートルズの前途であったが、内部はすでにバラバラの状態だったのである。

当時グループを引っ張る立場であったポールはある提案をする。
混沌とする活動状況を打破する為に、ポールが打ち出したのは「原点に帰る」というコンセプトだった。
デビュー時の様にオーバーダブなしのライブでアルバムを制作しコンサートツアーを行う、という企画である。
しかし、アルバム制作は了承したものの、他の3人(特にジョージ)はツアーには難色を示す。
妥協案として1度だけのコンサートも企画されたが、これも結局流れてしまった。

最終的にリハーサルなどを含むドキュメンタリーを制作しテレビで放送する、という事で合意した4人は
1969年1月2日にトゥイッケナム・フィルム・スタジオに姿を現し、リハーサルと撮影、録音を開始する。
「ゲット・バック(原点に帰る)・セッション」の始まりである。

しかし、いつも撮影されているというプレッシャー、そして薄ら寒いだけの撮影スタジオという慣れぬ環境。
張り切るポールはあれやこれやとジョージに指示、ジョージはそれに反発して口論となり
5ヶ月前にリンゴがしたように、1月10日にスタジオを飛び出してしまう。
数日後にジョージは復帰するが、テレビショウに関しては意見を曲げず、結局この企画は流れてしまう。

ビートルズは結局、トゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサルを中止し、
自らが作ったアップル・スタジオに移動して、1969年1月22日からセッションを再開。
ジョージはこの日たまたまアップルに居合わせたキーボード奏者、ビリー・プレストンをセッションに誘う。
外面の良いジョンとポールに対して、外部の人間を引き入れるのは効果的だった。

映像撮影、そして「オーバーダブをやらない」というコンセプトのアルバム制作は続行されるものの
1969年1月30日のアップルビル屋上でのコンサート、そして翌日のスタジオセッションをもってセッションを中断。
総時間、90時間以上の撮影・録音テープを残したまま、ビートルズはアップルスタジオを去った。

2月22日には「アビイ・ロード」に収録される「アイ・ウォント・ユー」の録音をトライデントスタジオで開始。
そして3月の初旬、ジョンとポールはグリン・ジョーンズに1月のセッションテープからアルバムを作る事を依頼する。
4月11日にこのセッションからのシングル「ゲット・バック / ドント・レット・ミー・ダウン」がまず発売された。
4月14日にはジョンとポールが二人で「ジョンとヨーコのバラード」を録音。これは5月30日に発売された。

そして5月28日。グリン・ジョーンズはアルバム「ゲット・バック」を完成させる。
このアルバムのためのフォトセッションも行われた。
デビューアルバムと同じ場所、同じ構図での写真撮影はこの時のメンバーの意気込みを感じさせたが
このアルバムは発売延期の声明が出された。
しかし後に、北米のラジオ局用に作ったサンプル盤からこのアルバムの海賊盤が作成される事になる。

この後7月からはアルバム「アビイ・ロード」のセッションが本格化。
そして9月26日にアルバム「アビイ・ロード」が発売。
アルバム「ゲット・バック」の事は誰もが忘れかけていたが、1月の撮影フィルムを映画にする事だけは決まっていた。

年が明けて1970年1月3日。
あの悪夢のトゥイッケナムからちょうど1年後のこの日、ビートルズ(ジョンを除く)はアビイ・ロードに集まる。
正式な録音がされていなかった「アイ・ミー・マイン」の録音のためである。
これは映画との整合性を図るために追加で行われたセッションだった。。
そして1月4日のセッションがビートルズとしての最後の録音セッションとなった。

未だに「延期」としてアナウンスされているアルバム「ゲット・バック」は
1月5日に収録曲を入れ替えて再度グリン・ジョーンズによって制作される。
3月6日にはラスト・シングルとなった「レット・イット・ビー」が発売されるが、アルバムは結局発売されなかった。

1月27日。
アビイ・ロードスタジオでジョンは自己のソロ名義であるプラスティック・オノ・バンドの3枚目のシングルである「インスタント・カーマ」を録音開始。
このレコーディングのプロデュースは、名プロデューサーであるフィル・スペクターであった。
ジョージもギターでこのレコーディングに参加。二人はフィルの仕事ぶりに大変感銘を受ける。

そしてジョンとジョージは「ゲット・バック(になるはずだった)」のマスターテープをフィル・スペクターに託す。
俺達と仕事がしたけりゃこの膨大なクズテープをアルバムに仕上げてくれ。
フィル・スペクターは自分の持ち味であるオーケストラと女声コーラスなどを加えた「ウォール・オブ・サウンド」で処理を行い、アルバム「レット・イット・ビー」として制作が開始される。

ポールはこの決定を聞かされておらず、自分の楽曲に過剰なアレンジをされた事に激怒した。
そして4月10日。デイリー・ミラー紙がポールのインタビューをスッパ抜く。
今後ビートルズのメンバーと作曲することはない」(ソロアルバム「マッカートニー」の販促物より)
4月17日にこのソロアルバム「マッカートニー」は発売され、ジョンは「脱退宣言を(自分のアルバムの)宣伝に使った。」としてポールを激しく批難した。

もはやこの時点でビートルズとしての活動は望むべくもなかった。

ラストアルバムとなった「レット・イット・ビー」は1970年5月8日に発売された。
ここに4人の伝説は幕を閉じたのである。

撮影されたフィルムは映画「レット・イット・ビー」として1970年5月20日に公開された。
バラバラになりつつある4人の姿がこの映画にはありありと映し出されている。

その後、ゲット・バック・セッションの膨大なテープは流出し大量の海賊盤を生み出す事となった。

2003年にはリミックスアルバム「レット・イット・ビー...ネイキッド 」が発売された。
これは「当初出すつもりだったオーバーダブなどを含まないアルバム」としてのコンセプトに乗っ取り、現在のアビイ・ロード・スタジオのエンジニアが、当時のマスターテープから改めてリミックスしたものである。
ジョージ・マーティンやビートルズのメンバーはこのアルバムの制作には一切関わっていない。
たまに「レット・イット・ビー」のアルバムから音を取り除いた、と表現される事があるが間違いである。
実際に異なるテイクを繋ぎ合わせたりの処理が行われているし、アルバム「レット・イット・ビー」に使用されたテイクとは明らかに違う曲もある。

またこの「ネイキッド」は当時制作されたアルバム「ゲット・バック」とは全く違うものである事も表記しておく。

Out Takes ~ミックス、テイク違い&リマスター

  1. The Beatles Anthology 1」に、1963年3月5日のテイクが収録されている。
    8ビートのもっさりしたテンポで演奏されており、ギターソロもお世辞にも良いとは言えない出来である。
  2. レット・イット・ビー...ネイキッド 」にも屋上コンサートのテイクが収められている。
    これは聴いた所、音の定位以外は変わっていないようなので切り貼りの編集はしていない、と思われる。

An anecdote ~ こぼれ話

  1. さすがに若い時に書いた曲というか、歌詞もキレイに韻を踏んでおり、まさに50年代のロックンロールが好きだったメンバーの好みが現れている。ちなみに言うまでもないが「9」はジョンのラッキーナンバーである。

Youtube

歌詞

My baby says she's trav'ling on the one after 909
I said move over honey I'm travelling on that line
I said move over once, move over twice
Come on baby don't be cold as ice.
I said I'm trav'ling on the one after 909

I begged her not to go and I begged her on my bended knees,
You're only fooling around, you're fooling around with me.
I said move over once, move over twice
Come on baby don't be cold as ice.
I said I'm trav'ling on the one after 909

Pick up my bag, run to the station
Railman says you've got the the wrong location
Pick up my bag, run right home
Then I find I've got the number wrong Well

I said I'm trav'ling on the one after 909
I said move over honey I'm travelling on that line
I said move over once, move over twice
Come on baby don't be cold as ice.
I said we're trav'ling on the one after 9 0,
I said we're trav'ling on the one after 9 0,
I said we're trav'ling on the one after 909.

参考文献

Link

Amazon Shop Link

ビートルズ公式録音曲213曲を徹底的に解説!テイク違いやミックス違い、そして2009年リマスターについてを動画等を交えて書き連ねています。

△ページ最上部へ移動

レコーディング年表(1962-1970) イギリス本国でのシングルレコード一覧表 ステレオ・モノラルその他テイク違い一覧表 モバイル版オープンしました!