ザ・ビートルズ楽曲データベース

Her Majesty

邦題
ハー・マジェスティー
作者
Lennon/McCartney(ポールの作品)
リードヴォーカル / コーラス
ポール / -
使用楽器
  • Martin D-28 (Paul)

Recording Data ~レコーディング・データ

ビートルズの11枚目の英国オリジナルアルバム「アビイ・ロード 」の17曲目に収められているナンバー。
このアルバムは1969年9月26日に発売された。
作者のポールがギターでの弾き語りでリード・ヴォーカルをとっている。
前の曲の「ジ・エンド」から20秒ほどのブランクを経て、この曲が収録されている。(理由は後述)

運命の1969年。年が明けてすぐの1月2日。ビートルズはトゥイッケナム・フィルム・スタジオに姿を現した。
混沌とする活動状況を打破する為に、ポールが打ち出したのは「原点に帰る」というコンセプトだった。
デビュー以来の、全世界をコンサートで飛び回っていたあの頃に帰る、という事。
オーバーダブなどしなかった(出来なかった)あの頃に・・・・!

ポールはコンサートツアーの再開を提案したが、他の3人は難色を示す。
妥協案として1度だけのコンサートも企画されたが、これも結局流れてしまった。
最終的にリハーサルなどを含むドキュメンタリーを制作しテレビで放送する、という事で合意した4人は
このフィルムスタジオでリハーサルを開始した。「ゲット・バック(原点に帰る)・セッション」の始まりである。

しかし、いつも撮影されているというプレッシャー、そして薄ら寒いだけの撮影スタジオという慣れぬ環境。
張り切るポールはあれやこれやとジョージに指示、ジョージはそれに反発して口論となり
5ヶ月前にリンゴがしたように、1月10日にスタジオを飛び出してしまう。
数日後にジョージは復帰するが、テレビショウに関しては意見を曲げず、結局この企画は流れてしまう。
映像撮影、そして「オーバーダブをやらない」というコンセプトのアルバム制作は続行されるものの
1969年1月30日のルーフトップ・コンサート、そして翌日のセッションをもってこのプロジェクトを放棄。
総時間、90時間以上の撮影・録音テープを残したまま、ビートルズはアップルスタジオを去ったのだった。
後にこの撮影テープは映画「レット・イット・ビー」となり、
録音物はフィル・スペクターの手によってアルバム「レット・イット・ビー」としてまとめられ、
ビートルズのラスト・アルバムとして翌年の1970年5月8日に発売される。

あの苦しいセッションが終了してしばらく経った頃。ポールはジョージ・マーティンに電話をかけた。
「もう一枚アルバムを作ろうと思うんだけど、またプロデュースしてくれないかな?本当の意味でね。」
マーティンは「本当に昔の様にできるならいいけど、そうじゃないなら断るよ。」と応え、これを了承した。
4人はすでにバラバラになっているにも関わらず、再びアビイ・ロードスタジオに集結する。
・・・・・・・最後の奇跡を形にするために。

この曲が録音されたのは1969年7月2日。アビイ・ロード第2スタジオ。
ポールは当時、アビイ・ロードスタジオから歩いてすぐの所に住んでおり、
この日も他のメンバーよりも早くスタジオに到着した。
アコースティック・ギターでの弾き語りでこの曲を3テイク録音する。
8トラックの内の2トラック(ギター、歌)の簡単なレコーディングであった。

この曲はこれで完成に至る。

1969年7月30日。アビイ・ロード第2スタジオ。
この日、後半メドレー部分の仮ミックスが行われたのだが、
この時点でこの曲は「ミーン・ミスター・マスタード」と「ポリシーン・パン」の間に収録されていたのである。
使用されたのは第3テイク。
プレイバックを聞いたポールは「ハー・マジェスティはいらないから省いてくれていいよ」とエンジニアに指示。
そしてエンジニアがテープをカットして「この切った分どうします?」とポールに聞くと、
ポールは「捨てちゃえ」と発言。

しかし「ビートルズに関するどんな物も捨ててはならない」という決まりがあったために
エンジニアはテープの頭に20秒ぐらいの無音テープを継ぎ足して、編集したリミックスの一番最後に足した。
そしてそのままサンプルのラッカー盤が制作されたのである。

多分、ポールはこのラッカー盤を聞いて、「ああオマケみたいで悪くないな」という判断をしたのであろう。

この曲の頭に「ジャン!」という音が入っているのは実は「ミーン・ミスター・マスタード」のエンディング音なのである。
そして最後が尻切れになっているのも、次のコードが「ポリシーン・パン」のイントロ部分だからである。

Out Takes ~ミックス、テイク違い&リマスター

特になし

An anecdote ~ こぼれ話

  1. このオマケと言える小曲だが、けっこう内容は強烈で、エリザベス女王を小馬鹿にした歌詞なのだ。
    「女王様はカワイイ娘、しかしあまり喋らない。(大した意見を持ってない、との意味もある)
    女王様はカワイイ娘、そして気分屋さん。(言う事もコロコロ変わる、という意味もある。)
    愛してるって言いたいけど、ワインでもガブ呑みしないと言えそうもないな。
    女王様はカワイイ娘。いつか僕の物にしてみせるんだ」
    もちろん発表当時は歌詞も掲載されず、それはおろか曲名さえ書いてなかったそうだ。
    日本でたとえると「カワイイ愛子ちゃん」って歌うみたいなうわなにをすdそどfぽf::;:f;s::
  2. 2002年。ポールは事もあろうにエリザベス女王が見に来ているコンサートでこの曲をやってしまったww
    その時のエリザベス女王の顔は、これ以上ない、というぐらいの不快な表情をしてはりました。

各種聴き放題サービスでのビートルズ作品の取り扱い状況

Amazonプライムミュージック

ビートルズ・オリジナルアルバムはAmazonプライムの特典である「Amazon Prime Music」で「ウィズ・ザ・ビートルズ」「ビートルズ・フォー・セール」「イエロー・サブマリン」を除いて聴き放題に含まれています。(いずれも2009年リマスターのみ)

Amazonジャパンのプレスリリースはこちら。

なぜこの3つが省かれているのかが謎ですが、単体での購入もお忘れなくという事なのかも知れません。
Amazonプライムはお急ぎ便の使用や送料無料、プライムビデオなど様々な特典を含んで月間400円、年間3,900円という価格で提供されています。
ちなみにプライムビデオの方では無料のビートルズ映像作品はありませんでしたし、公式の映画やコンサートフィルムは取り扱い自体がありませんでした。
頻繁にAmazonを使う、という事であれば加入するのもよいかも知れませんがビートルズを全て楽しみたい!という方には微妙かも。

Google Play Music

Googleが提供しているGoogle Play Musicの状況はオリジナルアルバム(アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントペパーの50周年含む)は全て配信されていますが、BBCセッション、レット・イット・ビー・ネイキッドは見当たりませんね。その代わりトニー・シェリダンものやハンブルグものなど少々怪しそうな物もラインナップされてるのがちょっと面白いです。
こちらは月額980円です。公式サイトはこちら

Spotify

Spotifyでの状況はGoogle Play Musicと同じ取り扱い状況ですが、時折広告が入ったり使用時間の制限があるものの公式アルバムの曲は全曲聴けるようになっています。
この制限を外したり、ダウンロード可能にするには月額980円の使用料が必要になります。
公式サイトはこちら

Apple Music

音楽配信サービスの大御所(笑)といえばやっぱりAppleですが、ビートルズの取り扱い状況は他よりも充実しており、BBCセッション、ネイキッド、イエロー・サブマリンソングブック、そしてなんとU.S.Albums(!)も含まれています。但しこれらは単体購入のみでしか聞けないものもあります。

オリジナルアルバム、アンソロジー3つ、ハリウッドボウル、サージェントの50周年エディションまでが聴き放題プランの中に含まれているので、ビートルズを楽しみたいのであればApple Musicが今の所最良の選択と言えるでしょう。

惜しむらくはモノラル盤の取り扱いがないところですが、AppleにはiTunes独占配信だった「The Beatles Bootleg Recordings 1963」があるのが大きいですね。
このアルバムも月額プランで聴けるものの中に入っています。

月額プランは個人では980円。ファミリープラン、1480円もありこちらはこの金額で6人までアクセス可能です。

参考文献

ビートルズ公式録音曲213曲を徹底的に解説!テイク違いやミックス違い、そして2009年リマスターについてを動画等を交えて書き連ねています。

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